月別アーカイブ: 2026年1月

東洋アークのよもやま話~22~

皆さんこんにちは!
株式会社東洋アーク、更新担当の中西です。

 

レーザー(LBW)と電子ビーム(EBW)は低入熱・高速・深溶け込みで歪み極小・仕上げ最小を実現。ギャップ許容の狭さと治具・センシングが成功の分かれ目です。ここではプロセス制御→フィットアップ→安全→検査を体系化します。🔬

 

1|レーザー(LBW)の要点
• キーホール現象で深溶け込み。焦点位置・出力波形・走査で安定化。

• ガス:Ar/N₂/Heを材料・厚みで使い分け。乱流を起こさないノズル設計が肝。

• ハイブリッド(Laser+MAG):ギャップ許容↑+高速。深溶け込みと金属供給の両立。✨

 

2|電子ビーム(EBW)
• 真空中で電子を加速・照射。極深溶け込み・狭HAZ。

• 課題:真空チャンバ・寸法制約・磁場影響。治具の熱膨張補正と脱ガス対策が鍵。🧲

 

3|フィットアップ・治具
• レーザー単独はギャップ許容量が小さい(例:板厚×数%)。

• バックバー・クランプ・押えで隙間0を作る。

• シームトラッキング(カメラ・フォトセンサ)で開先追従。📷

 

4|欠陥と対策
• ポロシティ:汚れ・ガス・焦点ズレ→脱脂・乾燥・焦点再設定。

• アンダーフィル:金属供給不足→ハイブリッド化または速度↓。

• ハンピング:速度・出力過多→出力波形調整、重ね量最適化。

• 割れ:拘束・材質→予熱・後熱、合金選定。🔍

 

5|安全・法令
• クラス4レーザーの遮蔽・インターロック。反射光管理(特にAl/Cu)。

• 真空装置の保守・X線漏れ管理(EBW)。

• 煙・臭気の排気とフィルタ。🛡️

 

6|検査・モニタリング
• フォトダイオード・プラズマ光でリアルタイム監視。

• 断面マクロ/X線/UTで溶け込み・欠陥確認。

• データ記録をWPSに紐付け追跡。💾

 

7|ケース:アルミ外板のレーザーブレージング
課題:見切り部の美観と耐食の両立。
解:CuSiろう材+レーザーブレージング、シールド形状最適化、後処理で色調を合わせる。✨

 

8|チェックリスト
☐ 焦点・波形・速度の三点合わせ

☐ ギャップ0の治具

☐ シールドノズルの形状・流量

☐ リアルタイム光学監視

☐ 安全遮蔽・反射対策・インターロック

☐ 断面マクロと記録 ✅

 

9|まとめ
レーザー/EBは“治具とデータの勝負”。ギャップ管理・焦点・波形を定量化し、監視×記録で品質を閉じます。次回はステンレスの溶接—腐食と歪みの同時最適へ。🥼

 

 

 

 

東洋アークのよもやま話~21~

皆さんこんにちは!
株式会社東洋アーク、更新担当の中西です。

 

抵抗溶接は通電×加圧×冷却のスケジュールでナゲットを形成し、板金量産で秒単位の品質を実現します。ここでは電極管理・スケジュール最適・ばらつき吸収=治具という三位一体で、タクト×強度を両立させる方法をまとめます。🤖

 

1|スケジュールの骨格
• スクイーズ(加圧予備)→溶接(通電)→ホールド(冷却保持)。

• 変数:電流・時間・加圧力。板厚・表面処理・材質により最適窓が存在。

• プリヒートやポストヒートを組み合わせてスパッタ・割れを抑制。🎛️

 

2|電極・冷却・ドレッシング
• 電極材:Cu-Cr-Zrなど。めっき鋼板は先端摩耗が早い。

• 冷却:水温・流量を監視し、過熱での焼付きを防止。

• ドレッシング:先端形状の再現で電流密度を一定に。自動ドレッサでタクト内化。🧽

 

3|治具設計=品質の8割
• 位置決めピンとクランプで板間隙間(エクスパンション)を抑制。

• 電極へのアプローチ角を確保し、ロボット干渉をゼロに。

• 反力の逃げを設け、板浮きを抑える。📐

 

4|品質指標と検査
• ナゲット径(板厚√に比例)/引張せん断強度/スパッタ量。

• ピール試験・打抜き検査を定期実施。

• EOL監視:電流・電圧・加圧の波形監視で劣化予知。📊

 

5|不良と是正
• 過大スパッタ:加圧不足/電流過大→加圧↑・電流調整。

• 電極焼付き:表面処理×冷却不足→冷却見直し・材質変更・ドレッシング頻度↑。

• 表面焼け:通電過多→時間・電流↓、加圧↑。

• ナゲット不足:電流不足/時間不足→増量、電極径見直し。🔧

 

6|めっき鋼板・ブレージングとの棲み分け
亜鉛めっきは蒸発・スパッタが課題。MIGブレージング(CuSi等)やレーザーブレージングを併用し、意匠部位は外観重視で設計変更。✨

 

7|ロボットセル運用
• リーチ・干渉・交換性を事前検証。

• ティーチングは治具基準で最小化。

• トーチ(ガン)メンテをサイクルで自動化し、停止時間を削る。⏱️

 

8|チェックリスト
☐ スケジュール(電流/時間/加圧)最適化

☐ 電極冷却水 温度・流量

☐ 自動ドレッシング設定

☐ エクスパンション抑制のクランプ

☐ EOL波形監視と閾値

☐ ピール/打抜きの抜取計画 ✅

 

9|まとめ
抵抗溶接は“秒で決める品質”。スケジュール×電極×治具の三本柱で強度とタクトを同時に確保し、量産の安定を実現します。次回はレーザー/電子ビームで低入熱高精度の世界へ。💡

 

 

 

東洋アークのよもやま話~20~

皆さんこんにちは!
株式会社東洋アーク、更新担当の中西です。

 

SAWはフラックスにアークを潜らせ、高電流×高速度で厚板長手を一気に仕留めるプロセス。光・スパッタ・ヒュームが少ない代わりに下向限定・設備依存。ここではライン設計→条件最適→欠陥ゼロ化→フラックス管理まで、工場で即使える要点をまとめます。

 

1|装置構成と要素
• 電源:DC/AC、ツイン/タンデム構成で能率UP。

• ワイヤ:ソリッド主体、径は1.6–4.0mm。

• フラックス:溶融型/焼成型。機械的強度、脱酸作用、靭性に影響。乾燥管理が生命線。

• トラベルユニット:レール直進性・シームトラッキング・ワイヤ突き出し一定化。

 

2|条件設計(入熱の設計)
• 入熱HI ≈ (V×I)/速度で粗粒化と歪みのトレードオフを管理。

• 開先:U/Jで溶着量↓、多電極で一発深溶け込み。

• フラックス高さ:アーク露出しない十分量。過多は包み込み→欠陥。

• バックバー:裏波確保と“落ち”防止に有効。

 

3|主欠陥と対策
• スラグ巻込み:層間清掃不足/重ね位置不適→スラグ完全除去・ビードオーバーラップ制御。

• アンダーカット:電圧高・速度高→電圧−1〜2V/速度−10%。

• 割れ(水素・凝固):乾燥・予熱・後熱、拘束低減。

• 気孔:フラックス湿気・母材汚れ→乾燥・脱脂。

 

4|ライン設計と段取り
• エンドタブ・スタート板で安定化。

• 継続溶接のためのワイヤ交換・フラックス回収の動線最短化。

• ビード高さ測定とIoT記録でWPS逸脱を見える化。

• 熱矯正は局所加熱→自然冷却を守る。

 

5|フラックス管理の作法
• 乾燥温度:メーカー推奨(例:300℃×1h)。

• 再生:回収→ふるい→乾燥→異物除去。

• 保管:密閉容器・除湿。吸湿は気孔の最短ルート。

 

6|品質・検査
VT 100%に加え、UT/RTで体積欠陥を監視。端部・交差・厚板変化部に不良集中。断面マクロで溶け込み確認をルーチン化。

 

7|ROIの勘所
溶着速度(kg/h)×連続稼働が勝負。タンデムSAWとU開先で溶着量と工数を同時に削る。一次合格率の改善が利益直結。

 

8|チェックリスト
☐ フラックス乾燥・再生

☐ レール直進・追従センサ

☐ 開先U/J・バックバー

☐ エンドタブ・スタート板

☐ ビード高さ測定・IoTログ

☐ UT/RTのタイミング計画 ✅

 

9|まとめ
SAWは厚板長手の王道。開先・乾燥・直進性の三点で“止まらない生産”を設計し、歪みと欠陥を同時に抑えます。次回は抵抗・スポットで秒単位の品質設計へ。⏱️

 

 

東洋アークのよもやま話~19~

皆さんこんにちは!
株式会社東洋アーク、更新担当の中西です。

 

FCAWはフラックス充填パイプ状ワイヤを用いるため、自己防護型(FCAW-S)ではシールドガス不要で屋外・高所・風環境に強く、ガスシールド型(FCAW-G)ではCO₂やAr混合で高能率×高品位を両立できます。高溶着速度・多姿勢適性・厚板対応が三種の武器。ここでは条件設計→欠陥ゼロ化→段取り→投資判断までを実務で使えるレベルに落とし込みます。⚙️

 

1|プロセスの全体像(SとGの違い)
• FCAW-S:風に比較的強い/ガスボンベ・ホース不要/スラグ厚め/ヒューム多/外観はやや粗い傾向。屋外梁・仮設・補修に◎。

• FCAW-G:ガス遮蔽で金属光沢と低スパッタ。多層多パスの突合せ・隅肉で一次合格率が高い。工場製作・屋内構造物に◎。

 

2|条件設計の出発点(5要素)
1) ワイヤ径(1.2/1.4/1.6mm):厚板・姿勢・狙う溶着速度で選定。

2) 電流・電圧:短アーク=安定・低スパッタ、高すぎる電圧はアンダーカットの温床。

3) CTWD(突出長):10〜20mm目安。長い→電流低下・融合不足、短い→スパッタ増。

4) 移行モード:スプレー/パルス対応銘柄の活用。

5) ガス(Gのみ):Ar-CO₂(80/20)万能、90/10でスパッタ低減、100%CO₂はコスト重視。流量12–20 L/min。

 

3|運棒・姿勢の“型”
• ドラグ(引き)が基本:スラグを後方に保ちスラグ先行で融合と濡れを安定。

• 上進隅肉:三角ウィーブで止め・置き・送るをリズミカルに。端部で1拍置く。

• ルートパス:開先付き突合せはSMAW/TIGでルート→FCAWで充填のハイブリッドが安定。

 

4|欠陥と“現場是正のコツ”
• スラグ巻込み:織り幅広すぎ/端部滞留不足/層間清掃不足→織り幅を板厚相応に、端で止める、層間ブラシ+チッピング。

• アンダーカット:電圧高/速度過大→電圧−1〜2V・速度▼、角度10〜15°。

• 気孔:風・湿気・油→遮風・乾燥・脱脂。Sでも遮風板が効く。

• 融合不良:CTWD長すぎ・入熱不足→突出短縮・電流↑、開先見直し。

 

5|段取り・治具・環境
• 遮風スクリーン:梁上は必須。火花下階侵入も同時に遮蔽。

• 仮付位置:最後に消える場所に配置し歪み計画と整合。

• 層間温度:150–250℃目安で安定、赤外温度計で数値管理。

• ノズル・チップ・ライナ:スパッタ付着→ガス乱流の元。清掃をタクト内に組み込む。

 

6|実務A3:a8隅肉(立向上進)の標準化
• 条件例:ワイヤ1.2mm、電流180–220A、電圧22–24V、CTWD 15mm、Ar-CO₂(80/20) 15 L/min。

• 動作:三角ウィーブ、端で“止め”0.3秒、戻し終端。

• 検査:a寸ゲージ、余盛2–3mm、アンダーカット深さ<0.5mm、層間PT(必要時)。

 

7|安全・健康
ヒューム・騒音はGMAWより多い傾向。局所排気・送気・耳栓の“三種の神器”。ヒューム溶接作業の規制対応(SDS・測定)を運用。

 

8|コスト・ROI
溶着速度(kg/h)×再工率で実力比較。FCAW-Gはガス費が増えるが一次合格率↑で総原価↓のケースが多い。ノズル清掃の自動化も効果大。

 

9|チェックリスト
☐ 遮風スクリーン設置

☐ CTWD 10–20mm

☐ 角度10–15°(ドラグ)

☐ 層間ブラシ・チッピング

☐ ガス流量とノズル清掃

☐ 終端“戻し”でクレータ処理 ✅

 

10|まとめ
FCAWは“外でも強い半自動”。遮風・短アーク・層間清掃の三点セットを標準化すれば、厚板・多姿勢で最短距離の品質が出せます。次回はSAWで長手厚板の生産設計に踏み込みます。