東洋アークのよもやま話~20~

東洋アークのよもやま話~20~

皆さんこんにちは!
株式会社東洋アーク、更新担当の中西です。

 

SAWはフラックスにアークを潜らせ、高電流×高速度で厚板長手を一気に仕留めるプロセス。光・スパッタ・ヒュームが少ない代わりに下向限定・設備依存。ここではライン設計→条件最適→欠陥ゼロ化→フラックス管理まで、工場で即使える要点をまとめます。

 

1|装置構成と要素
• 電源:DC/AC、ツイン/タンデム構成で能率UP。

• ワイヤ:ソリッド主体、径は1.6–4.0mm。

• フラックス:溶融型/焼成型。機械的強度、脱酸作用、靭性に影響。乾燥管理が生命線。

• トラベルユニット:レール直進性・シームトラッキング・ワイヤ突き出し一定化。

 

2|条件設計(入熱の設計)
• 入熱HI ≈ (V×I)/速度で粗粒化と歪みのトレードオフを管理。

• 開先:U/Jで溶着量↓、多電極で一発深溶け込み。

• フラックス高さ:アーク露出しない十分量。過多は包み込み→欠陥。

• バックバー:裏波確保と“落ち”防止に有効。

 

3|主欠陥と対策
• スラグ巻込み:層間清掃不足/重ね位置不適→スラグ完全除去・ビードオーバーラップ制御。

• アンダーカット:電圧高・速度高→電圧−1〜2V/速度−10%。

• 割れ(水素・凝固):乾燥・予熱・後熱、拘束低減。

• 気孔:フラックス湿気・母材汚れ→乾燥・脱脂。

 

4|ライン設計と段取り
• エンドタブ・スタート板で安定化。

• 継続溶接のためのワイヤ交換・フラックス回収の動線最短化。

• ビード高さ測定とIoT記録でWPS逸脱を見える化。

• 熱矯正は局所加熱→自然冷却を守る。

 

5|フラックス管理の作法
• 乾燥温度:メーカー推奨(例:300℃×1h)。

• 再生:回収→ふるい→乾燥→異物除去。

• 保管:密閉容器・除湿。吸湿は気孔の最短ルート。

 

6|品質・検査
VT 100%に加え、UT/RTで体積欠陥を監視。端部・交差・厚板変化部に不良集中。断面マクロで溶け込み確認をルーチン化。

 

7|ROIの勘所
溶着速度(kg/h)×連続稼働が勝負。タンデムSAWとU開先で溶着量と工数を同時に削る。一次合格率の改善が利益直結。

 

8|チェックリスト
☐ フラックス乾燥・再生

☐ レール直進・追従センサ

☐ 開先U/J・バックバー

☐ エンドタブ・スタート板

☐ ビード高さ測定・IoTログ

☐ UT/RTのタイミング計画 ✅

 

9|まとめ
SAWは厚板長手の王道。開先・乾燥・直進性の三点で“止まらない生産”を設計し、歪みと欠陥を同時に抑えます。次回は抵抗・スポットで秒単位の品質設計へ。⏱️