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東洋アークのよもやま話~14~

皆さんこんにちは!
株式会社東洋アーク、更新担当の中西です。

 

TIGは非消耗電極+不活性ガスで入熱とプールを緻密に制御でき、薄板・配管ルート・SUS・Ti・Alで無二の成果を出します。清浄・シールド・入熱の三点を“儀式化”しましょう。✨

 

1|電源・極性・ACバランス
• DCEN:鋼・SUSの基本。溶け込み深く、タングステン消耗小。
• AC(Al/Ti等):クリーニング作用で酸化皮膜破壊。バランスを整え、熱入力と皮膜除去を両立。
• パルスTIG:ピーク/ベースでプールの温度を管理、薄板すき間に強い。

 

2|タングステンと先端研磨
• 種別:純W、2%トリウム(近年はセリウム/ランタン系推奨)、ジルコニア(AC用)。
• 径:0.8/1.6/2.4/3.2mm。電流に合わせ選定。
• 研磨角:30〜60°。軸方向研磨でアーク集中、同心円研磨は厳禁。
• ボール化(AC):過度はアーク拡散→適度な丸みに留める。

 

3|トーチ・カップ・ガスレンズ
• カップ#4–#12を使い分け。大カップ+ガスレンズで長い突出でもシールドを保持。
• ガス:Ar主体、厚板・高熱でHe混合。流量8–15 L/min(大カップは増量)。
• トーチ角:10–15°、押し(プッシュ)が基本。

 

4|前処理と清浄(儀式)
1) 脱脂(アセトン等)→乾燥。
2) 機械ブラシ(材質専用、SUSに鉄粉混入厳禁)。
3) 化学的皮膜除去(必要に応じ)。
4) 手袋交換(油汚れ移行を防止)。

 

5|裏波とトレーリングシールド
• 裏ガス:Ar(SUSはN₂微量可)。パージダムでガス節約。
• トレーリング:後方シールドでヒートティント抑制、Tiは色判定(銀〜金良好、青は過酸化)。
• ルートギャップ:板厚・姿勢に応じ最小限、ブリッジング禁止。

 

6|溶加棒の選定
• SUS:308L/316L/309L。
• 炭素鋼:ER70S-2等(脱酸力)。
• アルミ:4043(Si系)/5356(Mg系)。
• チタン:純Ti/合金同等材。清浄・乾燥が最重要。

 

7|運棒とプールコントロール
• 点滴追加:プールの先頭に一定量を規則的に落とす。
• パルス:ピークで濡れ、ベースで冷却→歪み低減。
• クレータ処理:出力ランプダウン、戻しで終端気孔を防ぐ。

 

8|薄板・極薄の戦術(0.5〜1.5mm)
• 銅板裏当てで放熱。
• 点付→間詰、連続禁止で熱溜りを避ける。
• ギャップゼロ設計と固定。ピンセット・磁石で“手が三本”状態を作る。

 

9|配管ルート(SUS 6G想定)
• ハイロー管理(段差)をゲージで。
• 裏ガス流量とパージ時間の標準化。
• ルートパスは微細な“置き”、停止厳禁。
• ホットパス以降はGTAW/GM AW切替も可。

 

10|アルミのAC設定
• 周波数:高周波数→アーク集中、細ビード。
• バランス:クリーニング多すぎ→端部曇り、少なすぎ→酸化残り。
• スタート:プリフロー・ソフトスタートでブローホールを抑制。

 

11|トラブル例と是正
• 気孔:水分・油・ガス不足→脱脂・乾燥・流量見直し。
• 焼け(ヒートティント):裏・後方シールド不足→カップ増・流量↑・トレーリング。
• 黒いすす:トーチ角過大・ガス乱流→角度修正・流量最適化。
• タングステン混入:先端溶落ち→電流↓・突出↓、先端再研磨。

 

12|チェックリスト
☐ 前処理(脱脂→ブラシ→化学)
☐ タングステン径・研磨角・突出
☐ カップ番号・ガスレンズ・流量
☐ 裏ガス/トレーリング設定
☐ パルス設定とクレータ処理 ✅

 

13|ミニケース:食品配管の裏波色
現象:裏側に茶〜青の焼け。
是正:パージ延長、流量適正化、トレーリング追加、酸洗→不動態化。色基準表で合否を統一。

 

14|まとめ
TIGは“清浄×シールド×入熱”の三位一体。色・音・プールの形を言語化し、写真標準で共有すれば、薄板・配管の品質は安定します。次回はFCAWへ。

 

 

東洋アークのよもやま話~13~

皆さんこんにちは!
株式会社東洋アーク、更新担当の中西です。

 

GMAWは連続送給とシールドガスで生産性と安定品質を両立する主力プロセス。ここでは移行モード×ガス×条件の相関を“現場で使える言葉”に落とします。🚀

 

1|ワイヤ・送給・ガン周り
• ワイヤ:ER70S-6が汎用。錆・スケールへの許容が広い。
• 送給:プッシュ/プル/プッシュプル。アルミはプッシュプルかスプールガンが安定。
• ライナ:鋼=スチール、アルミ=テフロン。曲げR大きく、折れ・擦れを避ける。
• チップ突出(CTWD):突出長が長いと電流低下→融合不足。10〜15mmを基準。
• ノズル:スパッタ付着はガス乱流の原因→定期清掃。🧽

 

2|ガスとアークの性格(MAG鋼)
• Ar-CO₂(80/20):万能、ビード良。
• Ar-CO₂(90/10):スパッタ低減、薄中板に。
• 100%CO₂:コスト低、スパッタ多、アンダーカット注意。
• 微量O₂添加は濡れ改善に有効。流量10–20 L/min、風速>2m/sは遮風。🌬️

 

3|移行モードと用途
• 短絡:薄板・隅肉・多姿勢。
• グロブラー:中板、ややスパッタ多。
• スプレー:厚板・高速、下向中心。
• パルス:薄中板の高品位、入熱抑制・スパッタ低減。ロボットとの親和性◎。🎛️

 

4|プッシュorドラグ/角度と速度
• プッシュ:外観・濡れ良、入熱浅。
• ドラグ:溶け込み深、風に強い。
トーチ角10〜15°、速度一定。曲がりは腕でなく治具で制御。📐

 

5|条件設計の手順(実務)
1) 板厚・姿勢→移行モード仮決め。
2) ワイヤ径(例:0.9/1.0/1.2mm)。
3) 電流・電圧の範囲設定(メーカー表+社内実績)。
4) 送給速度・突出長・ガス流量を合わせこむ。
5) 試打→断面観察で最終決定。📊

 

6|トラブルと対策
• 送給不良:ライナ汚れ・曲げ大→交換・配索見直し。
• スパッタ多:電圧高すぎ・短絡不安定→電圧↓・インダクタンス↑。
• 気孔:油・水・風→脱脂・乾燥・遮風。
• アンダーカット:速度速・電圧高→速度↓・角度修正。
• 焼け:ガス不足/逆に過多で乱流→適正流量。🔧

 

7|ロボット溶接の勘所
• 治具>ティーチング:部品ばらつきは治具で吸収。
• 入出リード:タブ板・エンドタブで安定化。
• シームトラッキング:アークセンサ/ビジョンで追従。
• トーチクリーナ・スプレーで連続稼働率を確保。🤖

 

8|波形制御とパルスの活用
デジタル電源のパルス・コールドアークで入熱低減とスパッタ抑制。1パルス1滴の安定が目標。薄板T継ぎの焼け落ち防止に有効。💡

 

9|検査・合否の指標
a寸・余盛・アンダーカットのゲージ計測、外観の波打ちは速度・角度の乱れ。断面マクロで溶け込み・喉厚確認。🧪

 

10|ケース:t=6mm隅肉a6を毎分600mmで
課題:スパッタ多・アンダーカット。
是正:電圧-1V/送給-0.5m/min、トーチ角12°プッシュ、ガス15L/minへ。ノズル清掃をタクト内化。結果:再工率↓、ビード外観◎。📈

 

11|チェックリスト
☐ ノズル・チップ・ライナ清掃/交換
☐ CTWD一定(10–15mm)
☐ ガス流量と遮風
☐ 角度10–15°・速度一定
☐ 試打→断面観察→WPS更新 ✅

 

12|まとめ
GMAWは“条件×治具×清掃”で化ける。小さな調整が大きな歩留まりにつながる。次回はTIG(GTAW)で高品位×薄板×裏波を攻めます。🎯